わたしはわたし👞

~国内外を転々としながら楽しい生活をめざして奮闘中~

2/22(木)シンガポールの占い師テオさんに救われる

チャンギ空港からタクシーでホテルに向かう最中、やはりシンガポールの街はきれいだなぁと思った。きちんと整備された道路に、南国感漂うヤシの木が並ぶ。高層ビルがひしめく中心街を、タクシーが通り抜けていく。

シンガポールに引越しした当時は、右も左もわからなかった。それに始めはこの国が大嫌いだったのだ。そんなところから仕事を見つけ、友達を作り、お気に入りの場所を増やしていき、今では第二の故郷となったのだから不思議なものだ。もし夫の赴任するパスタ国について行っても、同じように新しい生活をうまく作れるのだろうか・・・。

無事ホテルに到着したものの、この日も不安でほとんど寝られなかった。

翌日、チャイナタウンにいる占い師のテオさんに会いに行く。

テオさんに出会ったのは、私がシンガポール生活に馴染めなくて最も悩んでいた2016年だった。手相を見てもらったのをきっかけに親交が始まり、定期的に私の悩みを聞いてくれたり、チャイナタウンを案内してくれたりするなど、たいへんお世話になっている方なのだ。私が日本に帰国後も連絡を取り合っていて、数年に1回、こうしてテオさんに会いに行くようにしている。

「わぁ!お久しぶりです!」

テオさんはいつも通り、あたたかく私を迎えてくれた。ひとしきり再会をよろこんだ後、さっそく夫のパスタ国への赴任について相談する。テオさんは、誰よりも、転勤族の夫と暮らす私の苦労を理解してくれていて、いつも私の不安を受け止めてくれるのだ。

私の話をひと通り聞いた後、テオさんは珍しく硬い表情のまま静かに言った。

「帯同するかどうかは、焦らずにゆっくり決めなさい。まずはネットでいろいろ情報収集してみなさい。現地に1ヵ月だけ滞在したりしてみるとかね。旅行で行くのと住むのとでは全く違う。慎重に決めなさい」

私はその言葉を飲み込むように、コクリとうなずいた。

今年の運勢を占ってもらった後、一緒に食事に行った。絶品飲茶をつつきながら、テオさんがいくつかのアドバイスをくれる。

「物事には、陰と陽の二面がある。できるだけ、いい面を見るようにしなさい。どう考えるかが重要です」

「それ以上、直進できなくなったら、無理やり前に進もうとするんじゃなくて、横に曲がりなさい。問題の解決方法は1つではなく、いろいろある。箸で食べてもいいし、フォークで食べても、手で食べてもいいでしょう?」

「ずっと勝ち続けることはできない。負けることもあるんだよ」

テオさんと話していると安心してきた。私はひとりではない。こうして相談できる人がいるじゃないか。

私はこれから起こるすべてのことを、自分ひとりでなんとかしなければならないと思っていたのだろう。そんなことせずに、こうして人に助けを求めれば良いのだ。

今回、テオさんに会ったおかげで、キュウっと狭くなっていた視野が随分と広くなった。冷静さを取り戻せた。それに、また辛くなったらこうしてシンガポールにくれば良いのだ。

本当に、テオさんはすごいなぁと思う。ほんの1、2時間一緒に過ごしただけで、私の心持ちはかなり前向きになったのだから。

テオさん、いつもありがとう。

また次に会える日まで、どうかお元気で・・・。