ネガティブに物事を考えやすい自分を変えたいと思い、昨日、図書館で借りた「リフレーム」という本を読む。
リフレーミングとは平たく言うと、物事を別の角度からポジティブに捉え直すことなのだそう。それもその人が腹落ちするような形で。
たとえば、自分は母親失格だと落胆しているというクライエントに対して、本書の著者は、以下のようにリフレーミングしたという。
「あなたはそれほど真剣に母親であることを考えていらっしゃるってことですよ。そうでなければ、自分は母親失格かどうかなんて、気にもしませんよ。たった1人の娘さんをしっかり育てたいという気持ちが、ひしひしと伝わってきますよ」
Source: 「リフレーム 一瞬で変化を起こすカウンセリングの技術」
こんなふうに言ってもらえたらクライエントは、子育てをがんばっていることや、うまくはできなくても、一生懸命こどもと向き合おうとしている自分のことが理解してもらえたと思って、心がきっと軽くなるだろう。
私にも似たような体験がある。
夫の転勤でシンガポールに移住した半年後に、急激な環境の変化に対応しきれず、適応障害になった。帯状疱疹も発症して、しばらく自宅療養の日々が続いた。その時はとにかく眠くて一日中ずっと眠りっぱなしで、家事もろくにできないことに罪悪感を感じていた。
「家事くらいしなければと思うのですが、ずっと寝てしまいます」
と心療内科の先生に話すと、先生はこう言った。
「それは、何かしないといけないと思う自分に、打ち勝ったということですよ」
これを聞いた時に、心がす~っと軽くなるのを感じた。その後、私は前向きに療養できるようになり、しっかりと回復した。先生がこう言ってくれなかったら、私は働いてもいないのに家事もできていない自分に後ろめたさを感じて、きちんと療養できなかっただろう。
この本には、さまざまなリフレーミングの例が載っている。中には「そんなこと言われたら、感極まって泣いちゃう(実際、涙しながら読んだものもあった)」というような、素晴らしいリフレーミングもあった。興味があれば、ぜひ読んでみてください。
それにしても、言葉のチカラはすごいと思う。
言葉ひとつで、人を前向きにさせることもできるし、人に命を絶たせることだってあるのだ。これからは言葉をもっと大切に使いたいものである。
これまではライターとして、情報発信のために言葉を取り扱ってきたが、将来は、あのシンガポールの心療内科の先生が私にしてくれたように、言葉のチカラで、人が前向きに生きることのお手伝いができればいいなと思う。