誕生日祝いに、ずっと食べてみたかった「コシャリ」を食べに行く。
「コシャリ」はエジプトのファーストフード。約100円と非常にリーズナブルながら、たいへんおいしいらしい。エジプトへ行った日本人がYouTubeで、
「コシャリを食べずには死ねない!」
「一生に一度はコシャリを食え!」
「うますぎて、エジプトにいた2週間、毎日コシャリを食べてしまった」
などと、あおってくるので、気になって仕方がなかった。今回ついに意を決して、コシャリに挑む。
そのエジプト料理店は、雑居ビルの一画にあった。カウンターしかない小ぢんまりとした店で、50代後半くらいのエジプト人ママさんがひとりで切り盛りしている。黒髪をキャビンアテンダントふうにまとめていて、太めに引いたアイラインが印象的。アジアンビューティーとも金髪の西洋美女とも違う、エキゾチックな美しさがあった。
この店はコース料理のみを出していて、いろんなエジプト料理を楽しめる。たとえば、エジプトのパンにひき肉や玉ねぎを挟んだ「ハワウシ」。これもまたエジプトの有名な料理で、学生がよく食べるのだとか。
他にも、ハーブで味付けされたエビのグリルや、ローズマリーが香るチキンの煮物などが出てきて、個人的には、B級グルメや家庭料理というよりも、品の良い地中海料理といった雰囲気に感じられた。素材そのものの味を大切にしているらしく、どれも優しい味わいだ。私はエジプト料理というと、トルコのようなケバブなどの肉料理やスパイスをふんだんに使った味の濃い食べ物を想像していたので、意外だった。エジプト人は農耕民族ゆえ、肉ではなく、魚をよく食べるのだそうだ。
そして、ついにコシャリが出てきた!マカロニ、お米、短く切ったパスタ、レンズ豆などが盛り付けられていて、ガラムマサラを思わせるようなスパイスやトマトソースが香る。これをぐちゃぐちゃに混ぜて、最後にレモン風味のママさん特製ソースをかけて食べる。
念願のコシャリを口に運んでみると・・・・。
(・・・んん?)
食感は主にマカロニを食べている感じで、味は一言では言い表せない。トマトソースの味がメインだが、オニオンや何かのスパイス、レモンの酸味など、さまざまな風味を無秩序に感じた。美味しいのは美味しいのだが、なんだかそれぞれの味がうまく統合されていない。
コシャリよ、お前の実力は本当にこんなものなのか?
ママさん曰く、エジプトにはコシャリ専門店があるそうで、家庭で作って食べるものではないのだとか。さらにママさんは、お客さんに作ってくれと言われるまで、コシャリを食べたことがなかったとのこと。
ふーむ、なるほど。これは、実際にエジプトに行って、本物を食べないといけないのでは?現在、計画中の世界一周の旅では、トルコに行くことになっている。トルコからエジプトは飛行機で約2時間と近い。
ピラミッドに特に興味はないが(すみません)、コシャリの真実が知りたい。