「また行くの！？」
と、Skypeで雑談中の中国人に言われた。えぇ、そうですとも。私はまた、大阪の夜の街に繰り出しますよ。と言っても、16時半くらいから始まるインド映画を観て、どこかで夕食を取るだけなのだけれど。
シネリーブル梅田は、梅田スカイビルタワーイーストの3階にあった。あと5分後に始まる「Super 30 アーナンド先生の教室」というインド映画のチケットを購入。上映時間が長いことで知られるインド映画らしく、2時間半以上もあるではないか・・・。
この映画は、インドで貧しい子供向けに、無償の塾を開いた熱い男の物語だ。実話に基づいているそうで、肉体労働や使用人として働いていた子どもたちが一生懸命インドの難関大学に挑む姿や、先生の熱意あふれる指導に心を打たれる。今度インドへ行ったら、私の貧しい子どもたちを見る目がきっと変わるに違いない。この子たちも、本当は学校で勉強したいのかもしれないと・・・。
ほろっとしながら映画館を出た後は、自分の境遇に感謝をしながら一杯やることに。
大阪駅付近のレストランは、どこもかしこも混みあっていたが、このビール屋は比較的客が少なかった。ビールとポテトフライなどの軽食しかないからかもしれない。ゆったりとしたテラス席で、風にあたりながらのんびり飲めるのが気に入って、入ることにした。
店員さんお勧めの柑橘系のビールとフィッシュアンドチップスを注文。ビールは200mlしかないので、一瞬でなくなりそうだ。ダイエット中なのに、揚げ物を食べながらビールを飲むのは、いけないことをしているみたいで（実際しているのだけれど）とても楽しい。
それに「ここには、私のことを知る人は誰1人いない」と思うと、何かからしばし解き放たれたような、すがすがしい気分になれた。よく知らない場所なので新鮮だし、アジアを1人旅していたときのような非日常感が感じられる。電車に少し乗って他府県に移動するだけで、こんなに気分が違ってくるとは。ところで私は、一体何から解き放たれたくて、異国や知らない場所を1人でほっつき歩くのだろう。
（人生、楽しんだもん勝ちじゃない？）
ややこしいことを考え出した途端、昔、友人に言われた言葉を思い出した。
ぼちぼち働いて、美味しい酒を飲みながら美味しい物を食べて、時々、芸術を楽しんでいたら、それで幸せなのかもしれない。
三日月がきれいな大阪の夜空を眺めながら、そんなふうに思ったのだった。
