自然の中で体を動かしたくなり、須磨浦公園駅から徒歩約30分で登れるという「旗振山」に行くことにした。
電車を降りたら、右手に見えるコンクリートの坂をひたすら登って行くだけ。途中で道は、コンクリートから小幅の階段になった。結構長く続くので、一体いつ終わるのかと時間を見たら、もう30分経っているではないか。しかし、山頂に着く気配はない。
「どこが山頂まで30分やねん！！」
それでも自然の中を歩くのは気持ちが良かった。森林に囲まれながら、ツピーツピーとかホーホケキョとか、さまざまな小鳥のさえずりが聞こえる。若葉や木のいい香りがする。汗がじんわりと肌着ににじんでくる。・・・山頂はまだなのかね？
登り始めから約1時間が経過した頃、やっと到着した。茶屋があるので何か食べられると思ったら、あいにくの休み。仕方がないので、リュックに忍ばせておいたカロリーメイトを喉に詰まらせながら食べる。もうちょっとしっとりならんのか。
須磨だけあって、山頂からは海が見えた。無数の家やビルなどがこまごまと立ち並び、その先に海が広がっている。人工と自然のコントラスト。シンガポールでも似たような風景を眺めたが、森林浴を楽しんだ後の山頂からではなく、息が詰まるような高層ビルに囲まれた街中の一画からだった。都会も自然も堪能できる神戸は、本当にいい所だと思う。さて、そろそろ下界に下りるか。
下界では、あちらこちらに置いてあるベンチで、何をするでもなくボーっと海を眺めている人が何人かいた。私もそれに倣う。
のんびり釣りをしているボート。その手前を、人がぎゅうぎゅうに詰まった電車が走り抜ける。そんな風景を見ながら、ふと思った。
（金をたくさん稼いでいても、使う時間がないような不自由な生活よりも、金はあまりなくても、自由に動ける時間がたっぷりある方がいいや）
私にとって最も大切なのは「選択の自由」があることなのだ。やりたくもない仕事に時間をささげたり、望んでもない環境に閉じ込められたりして、他人に人生を支配されるのはごめんだと思う。
中国製の健康ウォッチ「小米」が、手元でブルブルッと震えた。やった、今日は8,000歩を達成したらしい。
また、自分の考えを整理したくなったら、ここに来ようかな。
