今日は、数日前にダラムサラで知り合ったラジさんのタクシーをチャーターして、いろんな場所に連れていってもらうことにした。
彼は28歳独身で、ダラムサラ出身。コロナ流行前は、家電製品を扱う商店や旅行会社を経営しながら、時々タクシードライバーをしていたらしい。休日はキャンプをしたり、バイクで2週間かけて、北インドのラダックへ行ったりするアクティブ派だ。
ラジさんは車をどんどん山の上に走らせ、標高3200mの山が間近に絶景ポイントへと案内してくれた。
山々に囲まれた大自然の中に、ポツンとカフェがある。そこから見える景色に言葉を失う。
さらに、坂を歩いて、山の近くまでいくという。
え?ここを歩くの?
というような道じゃない道を、うわぁ!とかぎゃー!とか言いながら登っていく。大きなゴツゴツした岩や牛のうんちが転がり、かなりワイルド。
これは軽いトレッキングじゃないか…。ヒートテックにセーターを着ているので、暑くてたまらない。しかも、足元ばかり見ていたら、途中でよくわからない植物が顔にペシっ!とあたって痛い涙。ラジさんは時々振り返って私の様子を見たり、手を貸したりしてくれた。
「着いたよ」
すぐ目の前にこの荒々しい山肌がが見え、ほぅ〜と見とれてしまう。下には、吸い込まれそうになほど深い谷がある。落ちたら確実におだぶつだろう。しかも、ここにいるのは私たちだけ。なんという贅沢・・・。
雄大な山の余韻に浸りながら、次はヒンズー教寺院を訪問する。境内では裸足にならないといけないらしく、私は、地面に落ちてる鳥の糞や小石などが気になった。
お寺の奥には川があり、みなさん裸足のまま川へ行き、足を洗うよう。
川に向かう途中、何かの植物に手を触れた。すると途端に、指がヒリヒリとし出し、変なブツブツができてきた!
ラジさんに見せると、彼はその辺に生えている草をブチっと抜いて川で洗い、私の指に草を練り込んだ。
「オッケー」
ほんまかいな!と思っていたら、確かにヒリヒリが引いていく。
「この植物でしょ?触ったの。僕らは小さい時に悪いことをすると、お仕置きとして、この触るとヒリヒリする植物で叩かれたんだ。その時に、この草で痛みを和らげたもんさ」
と言う。なんて恐ろしい教育だ。
車の中で、ラジさんがよく分からない食べ物をくれた。小麦をひと回り小さくしたようなもので、噛むと若干、清涼感がある。しかし、殻が口の中にいつまでも残り非常に不快だった。
ラジさんにどうだ?と聞かれたので
「Difficult(難しい)。new for me(新しい体験です)。complicated(味は複雑)」
と答えたら、あははは!とラジさんは笑った。
他にも、ヒマラヤンアートミュージアムで、仏画を見たり、小さな茶園を訪れて茶を飲んだり、なぜか見知らぬインド人に記念撮影をせがまれたりしながら、観光を続ける。
さらに、チベット仏教寺院を2ヶ所訪問。
ダライラマテンプルでは、ちょうどお経があげられているところだった。それを観光客やチベット人達が取り囲んで眺める。
気づけば、時刻はもうすぐ16時。そろそろホテルに戻ることにした。
ホテルでラジさんにお礼を言い、部屋に戻った。荷物を片付けながら、ラジさんと賑やかに過ごした時間を思い出すと、なんだかこの広くて静かな空間が妙に寂しく感じたのだった。
#インド #ダラムサラ #旅行