わたしはわたし👞

~国内外を転々としながら楽しい生活をめざして奮闘中~

猫のぬくもりを求めて

最近、毎日散歩する海辺に1匹の猫がいる。

とても人懐こくて、私を見るとニャーニャー鳴きながらすり寄ってくるのだ。先日、私はいつもエサをやっている野良猫に引っ掻かれたばかりなので、地べたにゴロンと寝転んでお腹を見せてくるこの可愛すぎる猫も警戒していた。

(お前さんも、あたしを引っ掻くんじゃないだろうね・・・)

今朝も散歩をしていると、海辺の堤防にちょこんとあの猫が座っている。私を見つけると堤防から飛び降り、ニャーニャー鳴きながら、私の足に体を何度もこすりつけてきた。そして、いつもの地べたにゴロン。お腹丸出しのやつだ。あまりのかわいさに、今日は頭や背中を撫で撫でしてやった。

その後、自宅に帰っている途中、猫のおかげで心が穏やかになっているのに気が付いた。私を見ながらニャーニャー鳴きながらすり寄ってくる姿。地べたにゴロンと寝転んで、警戒もせずにお腹を見せるしぐさ。撫でてやったときの猫の温かい体温・・・。生き物や植物に触れると「オキシトシン」という幸せホルモンが分泌されると聞いたことがあるが、まさにその通りだと思った。

猫のぬくもりが忘れられず、猫カフェに行ってみることに。

古びたとあるビルの3階に、その猫カフェはあった。ドアを開けると、猫のおしっこの匂いが充満していた。広いとは言えない店内の真ん中にキャットタワーが置いてあり、壁際にはソファが数個設置されている。

店内を観察していると、猫は人間に触られるのを嫌がっているように見えた。人間たちが猫を触ろうと追いかけるのだけれど、猫は触られると、体をクイッと反対方向に避けて、サッとどこかへ行ってしまう。

私はスヤスヤ眠っている猫の近くに腰かけて「かもめ食堂」の原作を読むことにした。「かもめ食堂」の映画が気に入って何回も観ているのでストーリーは知っているのだけれど、原作を読むと、フィンランドに来ざるを得なかった登場人物の人となりがもっとわかって面白い。

すると、突然、どこからからか、茶色い猫が私の膝の上に乗ってきた。私と交流したいのか?と思いきや「フンっ。ちょっと乗ってやっただけよ」という感じで、どこかへ行ってしまった。

その後も膝の上に別の猫がやって来たり、隣で寝ている猫を撫でてやったりしていると、あっという間に1時間が過ぎた。そろそろ帰るか。 

店を出た後、なんだか胸がいっぱいになった。いつも足りない何かが満たされたような気さえした。私の人生のやりたいことリストに「海が見える家で、猫と一緒に暮らす」があるが、改めてその夢の重要性を思い知った。

今まで人生にいろんなものを求めてきたが、毎日通える職場があって、家に猫がいて、たまに旅行にでも行くことができたら、あとはもう何もいらない―—。

そんなふうに思わせられた1日だった。