わたしはわたし👞

~国内外を転々としながら楽しい生活をめざして奮闘中~

旅の御守りとお茶漬けのもと

あさってから、インドに行くことにした。

ダライラマがお住いのチベット文化圏「ダラムサラ」に、約1週間滞在する。そこで何をするのかは、いつも通り何も決めていない。ただ、日本を離れて、どこか静かな場所で心を落ち着かせたかった。

航空券はエクスペディアで、ホテルはアゴダで予約し、早々と荷造りを始める。幸いにも、今回は私の住んでいる街とダラムサラの気候はほぼ同じなので、服装に悩まなくて済みそうだ。

海外旅行時の持ち物には、いくつかこだわりがある。

たとえば、チベットの御守り。

2016年にネパールを旅行した時に、チベット人の孤児院で買ったものだ。その後、この御守りをインドのラダックにあるチベット仏教寺院へ持って行き、お坊さんにお経をあげてもらった。買っただけの状態では、効力を発しないのだそうだ。

この御守りのおかげなのか、私は海外旅行中に大きなトラブルに遭ったことがない。下痢で何回か病院送りになったり、ぼったくられたりする程度で、ケガや病気にはならなかったし、天気もいつも良い。今回も御守りを財布に入れて、旅の安全を祈る。

それから、疲れた時のために、緑茶と羊かん、お茶漬けのもとを持って行く。

旅の疲れが溜まっていくと、日本の味が恋しくなる。ホテルで熱々の緑茶を飲んで羊かんを食べれば、次の日は元気に旅が続けられるのだ。それに、味の濃い現地の料理に飽きてきたら、お米とお湯をホテルからもらって、自室でお茶漬けを食べることもできる。体調が悪い時は、おかゆ替わりになるので便利。

そして、欠かせないのが「遠い太鼓」だ。村上春樹が昔、ギリシャやイタリアで暮らしていた頃のエッセイで、何回読んでも飽きない。本の内容はもう知っているのだけれど。文体がおもしろくて、何度も読んでしまう。多分、50回以上は読んでいると思う。

ひとりで海外旅行をするときは、トラブルに遭わないように、夜は外に出ない。だいたい20時までには夕食を食べ終えて、ホテルで過ごすので、結構暇なのだ。そんなときに「遠い太鼓」をベッドに寝転がりながら読んで、ウトウトしてきたら就寝タイムとなる。

これらのこだわりの持ち物をはじめ、服や下着、トイレットペーパー、固形シャンプーなどをスーツケースに詰めながら思った。

「めんどくさいな……。私はなんでインド行くんや?」

こんな量の荷造りは久々だったからなのか、歳を取ったからなのかはわからないが、ひと通り荷造りを終えると、どっと疲れてしまった。

もう少し若かった頃は、ルンルンしながら荷物を詰めていただろうに。

大好きだった海外旅行に対しても、ある種の面倒くささを感じるようになった自分に、少し寂しさを覚えたのだった。