「世界一周して、旅行記を書く」
という目標に向かって、ぼんやりと前に進もうとしているこの頃。
とりあえず、だいたいの旅費を見積もることにした。
まずは、世界一周航空券から。
周遊ルートは、大阪 → タイ → トルコ → モロッコ → イギリス → アメリカ（乗り継ぎ） → ペルー → アメリカ（乗り継ぎ）→ 大阪。
スターアライアンスの世界一周航空券の購入サイトで、シミュレーションしたところ、このルートだと約50万円のようだ。
1ヶ月半くらいでサクッと一周する予定なので、宿や食費、その他費用を合わせて、約60万円かかりそう。つまり、世界一周費用は合計約110万円ということになる。
これなら節約すれば、当初の希望予算でだった99万円を達成できるだろう。
各国での訪問先も大まかに考えてあるので、あとは出発日を決めて、航空券を買うだけになってしまった。
薄っすらと今年、そんなことになるんじゃないかと思い、仕事を増やすとか、身動きの取れなくなることは避けてきた。
転勤族ゆえ、年度が変わって人生がまた動いてしまわないうちに、旅立ってしまいたいという気持ちがあった。
しかし、寝たきりになってしまった祖母の病状が心配で、出発日を決められない。
祖母は数年前に癌を患い、80代半ばという高齢でありながら抗がん剤治療に励んでいた。しかし、副作用が強すぎて、ついに治療を断念せざるを得なくなった。そして今年1月から、突然、手足が麻痺し、寝たきりの生活に。話すこともままならず、眠っている時間がどんどん長くなっていく——。
アジア圏にいれば、すぐに帰ることができる。しかし、中東やアフリカ、ヨーロッパ、南米に行ってしまうと、すぐには日本に戻って来られない。
今、旅に出て、祖母の最期に日本にいなかったら、一生後悔するだろう。
これまで私は、当たり前のように、海外をひとり旅をしてきた。しかし、それは、家族が健康だったからできたことなのだ。
何かあれば、すぐに飛んで帰ることを常に想定しながら、どうやって長期旅行ができよう。
「世界一周したいなら、早めにしておいた方がいい」
と、父親に介護が必要になった同級生が、しみじみと言っていた。
旅の見積りをはじめ、調べたさまざまな情報をきちんと保存して、私はしばらく様子を見ることにした。
