開けていいわけないだろう!!
ネパールのトリブバン国際空港で、X線荷物検査にひっかかってしまった。
男性職員がスーツケースを開けて、何かを探し始める。風呂敷できれいに包んである衣類をぐちゃぐちゃにし、ポーチを開けて中身を見る・・・。何を探し出したいのか本人もよく分からないまま、荷物をひっかきまわしているようにしか見えない。
せっかくきれいにパッキングしたのに!!と、私は内心イライラしていた。
羊かんが珍しいのか、手に取ってじぃっと眺めている。これは違ったようだ。
次に、小腹が空いたときにと準備しておいた、チョコレート味のスティックバーを手に取ると、
「開けてもいいか?」
と言うので、私の堪忍袋の緒が切れた。
「いいわけないだろう!これはただのチョコレート味のクッキーじゃ!パッケージ見て分からんのか!!」
と、英語でブチ切れたら、
「ソーリーマダム。荷物検査は終わりました」
と、あっさりスーツケースを渡された。ぐちゃぐちゃになったままで・・・。
ひとりで歩きたいんです!
旧王宮のあったネパールのカトマンズ・ダルバール広場を、ひとり気ままに歩いて見学しようとしていた。ここには、ヒンドゥー教寺院や旧王宮の建物などが点在しているのだ。
が、ひっきりなしに声を掛けられる。
「ガイドはいらないか?」
「いりません。明日、自分のガイドとまた来るから」
「そのガイドより、俺の方がうまく説明できるぞ」
「じゃあ、明日、私のガイドが不十分だったら、あなたにガイドを頼みます」
「いやいや、今日じゃないと」
というようなやり取りを何人もと繰り返した。
近くに寄って来て、頼んでもいないのに、勝手に説明し出す人もいる。そういう場合は「言っときますけど、お金、払いませんよ」と、くぎを刺さねばならない。
そういうことが散々続いた後「今日は仕事がないから助けてくれ」と、6人目のガイドとおぼしきネパール人が声を掛けてきた時、ついに私の脳内湯沸かし器は100℃を超えた。
「もうひとりで歩きたいんです!!」
と、声を荒げると、しゅんとして男が去って行った。
中国人に負けるわけにはいかない
中国・厦門島からコロンス島行きフェリー乗り場での出来事だ。
搭乗ゲートが開くと、中国人たちは、徒競走かと思うようなスピードで、フェリーめがけて一目散に走っていくではないか。どうやら、景色の良い窓際席に着きたかったようだ。日本なら走ったりせずに、列を作って順番に乗り込んでいくだろうに・・・。
しかしこれを見てしまったからには、中国人に負けるわけにはいかない。
コロンス島から厦門島へ戻る際のフェリー乗り場では、搭乗ゲートが開いたと同時に、私も中国人に交じって、全速力でフェリーへ駈け込んだ。
「大和魂、見せたるでーー!!」
はぁはぁ息を切らしながら、窓際席に着いた時「私は一体何をしているんだ・・・」と虚しくなった。
どれもこれも、6〜7年前の若かりし頃の出来事だ。今ならもう少し心穏やかに旅ができるだろうか?
いや、できないだろうなぁ。