わたしはわたし👞

~国内外を転々としながら楽しい生活をめざして奮闘中~

こんな世界があったとは・・・昼下がりのジャズ

確か、この辺だったはず・・・。あった!

「SONE」

重厚感のあるドアを押して店内に入ると、そこには、グレーのポロシャツにチノパン姿の男性スタッフが立っていた。

「おひとりですか?1000円ちょうだいしております」

SONEは、神戸にある1969年創業のジャズバーで、毎晩、生演奏をしている。日曜日だけ「昼下がりのジャズ」と題して、14時と15時から45分間のライブがあり、1000円で聴かせてくれるのだ。

店内を奥へ進むと、ビックリしてしまった。こんな世界があったのかとショックすら受けた。イギリスのパブを思わせるようなクラシカルな造りの店内は、人で埋め尽くされていたのだ。

おひとりさまの中年男性や女性、年配の夫婦、少しドレスアップした若い女性、子ども連れの家族。普段、日曜日に私が海辺の小さな街で、イオンやらホームセンターやらに行っていた間、神戸の老若男女はバーでジャズをたしなんでいたとは・・・。

500円で白ワインを買い、なんとかイスだけの席に着いた。程なくして、ジャズライブは始まった。

一曲目は、快晴の日にふさわしいウキウキするような軽快な曲だ。70歳を越えていると思われる男性ピアニストが、テンポの速い曲を涼しい顔で演奏している。なんてかっこいいんだろう・・・。

私も人前で披露できるような趣味があればなぁ。何がいいだろうか。手先が不器用なので、楽器は無理だ。歌もイマイチ。記憶力は良い方なので、サルサなんてどうだろう。でも、このピアニストのように、70歳になった自分がレオタードのような衣装を身に着けて、人様の前で踊っている姿を想像したら、げんなりした。

テーブルがないので、こうなりました・・・

バンドにボーカルが加わる。

ショートカットに、大きなゴールドのピアスをしている快活そうな女性が歌い出すと、思わずワインを飲むのを止めてしまった。とにかく声がいいのだ。芸人の鬼奴の声をもう少し太くして、透明感を与えたような感じと言えばいいだろうか。

Youtubeで、彼女の昔のライブ映像を見つけました。映像も素敵だけれど、実物はもっと素敵!

www.youtube.com

ある客は首を上下に振りながら、ある客は体を左右に揺らしながらリズムを取っている。ある男性は目を閉じて首をうなだれ、音だけを集中して聴いているようだ。しかし、途中からピクリとも動かなくなり、ジャズの美しい調べに乗って、どこか夢の国へ行ってしまったようだった。

外は35度を超える猛暑日。クーラーのきいた素敵な空間で、白ワインをチビチビやりながらジャズの生演奏を聴く。

特別な日曜の午後だった。