わたしはわたし👞

~国内外を転々としながら楽しい生活をめざして奮闘中~

予約がありません!?トホホの香港ひとり旅

「お客様の予約はございませんが・・・」

そんなことはないだろう。手元に予約票がきちんとあるのだから。

日曜日の夕方、2泊3日の香港旅行を終えて、関空行きのフライトチェックインをしようとしていた時だった。

「明日の便に予約されているようですが・・・」

「はっ?」

そうか。金曜日に関空発、月曜日に関空着だから、あんなに安かったのか。JALの関空-香港往復で、四万円台だった。それを私は、日曜日に関空着と勘違いして買ってしまったようだ。しかも、予約票もろくにチェックせずに。

今日の便は、予約でいっぱいだという。

もう一泊すればいいのでは? いやいや、明日、会社に行かなければならないじゃないか。飛行機の予約をし誤ったばかりに、帰国できなくて休んだことが上司にばれたら、また「タコッ!!」と怒られてしまうではないか。ただでさえ、ボーっとしていて危うい奴としてマークされているというのに。

泥酔してタクシーに落とした財布を、警察署に受け取りに行くために半休を使った時も、免許の更新期限が過ぎてしまい、慌てて交通センターへ駈け込んで会社を休んだ時も、上司は私に「タコッ!!」と言って叱ったのだった。

何が何でも、今日中に帰国しなければならない。私は慌てて、ANAのカウンターに駆け込んだ。

「すみません、JALが予約でいっぱいで乗れなかったんです!必ず今日中に関空に戻らないといけないんです!」

と、必死の形相で訴えたら、カウンターにいた女性スタッフがクールに言った。

「弊社は空席がございます」

「いくらですか!?」

「残念ながら、こちらの値段になります」

女性は電卓をたたいて、私に見せた。

五万円。

「・・・買います。クレジットカードでお願いします」

かしこまりましたと言って、女性スタッフはてきぱきと手続きを進めてくれた。

航空券が往復で四万円台だったから香港に来たのに、結局、十万円くらいになってしまった。トホホ・・・。

まだ会社勤めをしていた、2010年の出来事だった。今、思えば、なぜそんなチケットを買ったのか、なぜ予約票をきちんとチェックしていなかったのか、本当に不思議でならない。今なら、絶対に起こりえないミスだ。

当時、私は自分を見失っていて、注意力が散漫になっていたのかもしれない。メーカーで貿易の仕事をしていた私は、代り映えのしない業務内容や同じことを繰り返す日々に辟易していた。きっとどこか遠くに突然行きたくなり、慌てて航空券を取ったのだろう。

今となっては、そんな会社員時代も香港でのトラブルも、ほほえましい人生の一ページとなった。