Amazonプライムを物色していると、「私達の生きる道」というイギリスドラマに目が留まった。
複雑な問題を抱えたさまざまな年代の男女の人生が交錯する、面白そうな内容だ。
特に印象的な登場人物は、70歳の誕生日を迎えた女性とその夫だった。
この夫は、とにかく人前で妻を小馬鹿にする。
「彼女は、運転免許の試験を9回も受けたんだ」
「もう年だからな」
「妻のスピーチはたどたどしいかもしれませんが、聞いてやってください」
「いいか、遠くの人にも聞こえるように、大きな声でゆっくり話すんだぞ」
普段なら、この夫を怒り心頭気味で観ていただろうが、カウンセラーの勉強をしている今はドラマの観方が違ってくる。
— どうしてこの男性は、奥さんをこんなに馬鹿にするんだろうか。
— 馬鹿な奥さんと人生を共にしている自分が恥ずかしくないのか?
— それとも自分が程度の低い人間だと知っているから、自分の自己肯定感を上げてくれる誰かが側に必要だったのか?自分には価値がないということに直面するのが恐怖だから?
— それって、何のための結婚なの?
— 人をさげすむことで自分の自己肯定感を高めたり、自分の無価値さから目をそらしたりしても、自分の人生に対する空虚感は一生消えないのでは。
— 自分と向き合わない限り、自分の人生にずっと嘘をつき続けることになるのでは。
などなど。
70歳の誕生日を迎えた妻は、自分を尊重していない夫との人生に突然疑問を持つ。
セリフはなかったが、表情から彼女の気持ちを考えてみる。
— 家族のためにこんなに頑張ってきたのに、馬鹿にされて悔しい?
— 私の人生は本当にこれで良かったのだろうかと不安に思う?
— この人との人生は、一体何だったのか。自分の人生を踏みにじられてきたような気がして怒りを感じている?
— 小ばかにされても文句も言わずに、自分の人生を人にゆだねてしまったことに後悔してる?
ドラマを観終わった後に思った。
私もまた、結婚後に、転勤族の夫に自分の人生をゆだねて、自分と向き合わずにここまで流れて来たのではないか。人にゆだねてしまった方が、ラクだからだ。
その代償として、「あたしって、こんなんやったっけ?」などと、本来の自分(自立心だと思う)が失われてたように感じたり、たえず自分の人生に空虚感を感じたりするのではないか。それに、人に依存すれば、その人の支配を受けることになるので、自由でなくなる。
自分の人生に責任を持つ。
自分の人生を自由に生きるうえで、大切なことですね。