わたしはわたし👞

~国内外を転々としながら楽しい生活をめざして奮闘中~

淡路島へ出稼ぎに行ったら・・・

少し時間ができたので、淡路島へ出稼ぎに行くことにした。玉ねぎの仕分け作業などをして、時給は割と高めの1,000円だ。

当日、朝7時に、玉津インター付近の集合場所へ向かった。ここで、われわれ作業員たちは、雇われている会社のバンに乗って、淡路島へ移動するのです。

面接の時にお会いしたおっちゃんがいたので、自分の車をどこに置けばいいのかを聞くと「あの車の前にバックで置いて!この人の車やからぶつけてもえぇで!ガハハハッ」と豪快に笑われた。早朝から体育会系のノリはきつい。

バンに乗ると、ふっくらしたショートカットの女性が、眼鏡をかけて文庫本を読んでいた。頭のベレー帽がおしゃれ。40歳半ばくらいだろうか。淡路島での玉ねぎ仕分け作業は、今回2回目だそうだ。

「暇をつぶしに来たのよ」

と、ちょっと茶目っ気のある感じで彼女は言った。働いていた店が立ち退きで閉店になり、今回の作業に参加することにしたそうだ。

その後、19歳だという小学生のように可愛らしい小柄な女性と、私と同世代くらいの女性がけだるそうにバンに乗ってきた。さらに30代と70代と思われる男性も乗り込んで、7時10分にバンは発車した。

「クーラーがききすぎて、寒いなぁ」と思って温度を見たら、なんと20度!寒いですねと、横の人に言ったら「もっと寒くなりますよ」と言われた。前に送迎してもらった時に、恐ろしく寒かったらしい。ユニクロのダウンを持ってくればよかった・・・。

おじちゃんの雑な運転にヒヤヒヤしながら、8時15分くらいに南淡路のとある工場に到着。今回の作業員は全員で15人くらいで、中には、70代後半と思われるおばあちゃんとおじいちゃんもいるではないか。1時間作業をしたら、5分~10分くらい休憩させてもらえるらしい。もちろん、12時~13時は昼休み。

荷物をロッカーに置いて、支度をしたら8時半から作業開始だ。

作業内容は主に3種類ある。玉ねぎ3個をネットに入れる。機械でそのネットをピン止めをする。ピン止めされた玉ねぎを段ボールへ詰める。私は玉ねぎをネットに入れ、横でベレー帽のおばちゃんがピン止めをすることになった。このおばちゃんのピン止め作業が尋常じゃなく早いので、私もつられて尋常じゃない速さで玉ねぎ3個をネットに入れていった。そしたら、それを見ていたおじちゃんが私たちにこう言った。

「自分のペースでやったらいいからね。あんまりぶっとばすと、午後だらーっとなっちゃうから」

こういった流れ作業は、普通なら「もっと早くやれ」と言われそうなものだが、「ゆっくりやりたまえ」と言われたのは初めてだ。

私とベレー帽のおばちゃんがぶっとばしている間、向かいでは40代と思われる男性(彼もまたベレー帽をかぶっている)が、マイペースに作業をしていた。彼は「私がここにいる理由は、何も聞いてくれるな」といった雰囲気を醸し出している。暗黙の了解的に、ここに作業をしに来ている人たちは、お互いのことをあまり深く詮索しないようにしているようだった。

12時になり、工場の2階にある広い会議室のような場所で、皆で一緒に持参した昼食を食べる。午前の作業を終えて、私はいろんなことがとても新鮮だった。ライターをしていると、基本的に自宅で黙々と一人で文章を書いて、昼食も毎日一人で食べる。それが今日は、朝からずっと人と一緒に仕事をして、一緒にご飯を食べているのだ。立ちっぱなしなので、背中が板のように硬くなってたまらないが、なんだかうれしかった。

午後は、役割チェンジをして、作業を再開する。30代のお兄さんが玉ねぎをネットに詰めて、私が機械でガチャンとネットを綴じる。黙々と作業をしていると、ガチャンとネットを綴じるコツを掴んでくる。そして、フロー状態に陥り、私は物凄い速さでネットを綴じていった。すると、左でネットに玉ねぎを入れていた男性が焦り出し、ものすごい速さで玉ねぎをネットに入れるようになる。それを私がガチャンガチャンと機械で綴じて、右にいる男性に渡す。右にいる男性はヒーヒーいいながら、山積みになった玉ねぎを段ボールに詰める。

「俺、最後までもつかな・・・」

と、15時くらいに、彼がボソッとつぶやいた時に、私の背中はもう限界を超えていた。カッチカチに硬くなって、もうこれ以上、立って作業ができない!!

それでも、腰を後ろに倒したり屈伸をしたりして、時々ストレッチをしながら、最後まで何とか作業を続けた。あの70代のおばあちゃんやおじいちゃんは、腰が痛くならないんだろうか??

やっと17時になり、作業は終了した。イテテテ・・・と腰に手を当てながら、送迎車に乗り込む。車内で、われわれの雇い主である豪快なおじちゃんが、皆に今日の作業の感想を聞いた。私は「背中が板のように硬くなって痛い」と言うと、おじちゃんは「運動不足やな!」と一蹴した。その後、19歳の彼女は足が痛いと言ったら、おじちゃんは「それだけか?」と聞き返した。何のために感想を聞いたんや!

なんとか自宅に戻ったけれど、腰が痛すぎて、もう何もできない・・・。でも、なんだかいい1日だったなと思う。人と関わることや、一生懸命働いてお金を稼ぐ楽しさを嚙みしめた。

しばらく、この淡路島への出稼ぎを続けようかな。