わたしはわたし👞

~国内外を転々としながら楽しい生活をめざして奮闘中~

ワインと古書店とカンフー修行に励むフランス人

なんだか自分の人生がつまらないものになりそうだったので、面白そうな場所や個性的なお店を巡ってみることにした。

とりあえず「本」をテーマに神戸の古本屋を検索してみると、ユニークな古書店がたくさん出てくる。ギャラリーを併設していたり、レコードも売っていたり、金曜日の夕方はお酒を飲むことができたり。今回はギャラリーを併設した、小さな本屋を訪ねることにした。

三ノ宮駅を出て、異人館のある北野坂をめざす。10分くらい歩いただろうか。カフェやワインショップなどが入った小さなビルの1階に、その本屋はあった。が、「外出中」という札がかけられていて、店内は真っ暗だ。時刻は13:30。遅い昼食なのかもしれない。

しょうがないので、横にあるワインショップを覗いてみることにした。白を基調としたナチュラルテイストの可愛らしい店に入ると、正面のガラスケースには、大切そうに限られた数のチーズが陳列されている。奥に進み、ひんやりとしたワインセラーでワインを見せてもらう。

日本産のワインだけを取り扱っているようで、その産地を見て驚いた。福島、栃木、島根、東京・・・。国内でこんなにワインが作られていたとは!「できるだけ珍しいものを揃えているんです」という店員さんの言葉通り、神戸ワインは見当たらない。いろいろと悩んだ末、ラベルに書かれているメッセージが心にひっかかった、こちらのワインを購入することにした。

「解決方法はおどろくほど単純だったりするんじゃないかな」そうなのかなぁ・・・

ちなみに、ワインショップの店員さん曰く、向かいの本屋は開いている方が稀なのだそうだ。代わりに、店員さんお勧めの本屋をいくつか教えてもらった。その中の一つが、関空行きの高速バス乗り場のすぐ近くにある古書店(名前を忘れた)。8畳くらいの店内は、四方八方さまざまな本で埋め尽くされていた。比較的新しそうな文庫本から、紙が黄色く黄ばみ文字がそのうち消えてしまうのではないかと思うような年季の入ったもの、「誰が買うんや?」と思ってしまうようなムックまで。しかも平日にも関わらず、店内には若者からおじさままでいて、結構流行っているではないか。

床に目を落とすと、レコードが段ボールに入れられていた。1,000円と格安なので、1枚買って行こうか。自宅にはレコードプレーヤーがあるものの、ジャズに詳しくないので、何を基準に選べばよいかわからない。結局「ブラジル」という響きと、アマゾンのようなジャングルの中にオウムがいるジャケットのデザインだけを頼りに、1枚選んだのだった。

その後もう1軒、元町にある別の古書店(神戸古書倶楽部だったかな)へ行き、中国の奥地で90日間カンフーの修行をして、人生の宝物を得たというフランス人が書いた本を買った。150円だった。

自宅にあるハンモックに揺られながら買ったワインをちびちび飲み、カンフー修行に励むフランス人の物語を読む。フランス人は音楽家として人生が順調に進んでいたのにも関わらず、徐々に行き詰ってしまい、全てを捨てて中国に渡ったそうな。私などは人生がうまくいかずに行き詰っているが、うまくいっていても行き詰まるというのは不思議だ。そもそも”人生がうまくいっている”とは、どういう状態を指すのだろう?

今日一日だけのことを振り返れば「うまくいった」と思う。遠出はしなかったものの新しい場所を訪れて、人と話し、新しいことを知ることができた。それは自分が好きな「旅」をしたことと同じだから。