「名古屋に行って味噌カツを食べなかったら、名古屋に行ったことにはならない」という私の熱望を受けて、旦那が向かったのは「とんかつ知多家」。名古屋人いわく、ここへ行けば間違いないらしい。新年の挨拶に、旦那の実家を訪ねたときのことである。
運ばれてきたのは、味噌にどっぷり浸かっているとんかつ。ちょっと味噌が多くないか?やはり味が濃そうだ・・・。
歳を重ねるごとに脂っこいものを受け付けなくなってきたので、完食できるかどうか不安だったが、一気に平らげてしまった。味噌の甘さが、しつこく感じるちょうど一歩手前で絶妙。衣はサクサクしていて脂っこくないし、肉が分厚くてうまい!
「このお味噌を、出汁で煮た大根にかけるとおいしいよ」と、お義母さまがおっしゃるので、買って帰ることにした。
こちら、関西に持ち帰られた名古屋のソールフード。興味深いのは、裏に書いてある味噌の活用方法だ。
豆腐ハンバーグの味噌かけ、味噌煮込みハンバーグ、味噌煮込みおでん、味噌トースト!?名古屋人はトーストにまで味噌をかけるとは、なんという味噌愛。関西と名古屋の食文化の違いを感じる。
味噌トーストが一体どのような味なのか気になり、実際に食してみることにした。ネットで調べると、レシピは人によってさまざまだ。バターを塗ってから味噌をかけ、その上にチーズをのせて、最後にマヨネーズをかけるとか。どんだけカロリー高いねん。
今回は、名古屋のとあるカフェで出されているという味噌トーストを参考にした。バターを塗って、その上に味噌。すりごまをパラパラとふりかけた。恐る恐る味噌の香りが漂うトーストを口に運ぶ。
「・・・味噌の味しかしない」
味噌の味が強烈で、パンを食べていることさえ忘れる。しみ込んだバターと重みのある味噌のせいで、本来ふわふわモチモチだったトーストは、しんなりモチモチに変化した。まるで、巨大な田楽を食べている気分。
その後、食べ進めているうちに、色んなことを思った。
「味噌の味しかしないのに、バターを塗る必要があるのか?」
「もっとゴマをたくさんかけると、おいしくなるのだろうか。いや、味噌の味しかしないことに、代わりはない」
「意外とコーヒーに合うな」
「名古屋人よ、これでいいのか?!」
食べても食べても味噌の味だけがやってきて、そのまま何の変化も新たな発見もないまま食べ終えてしまった。今日の朝食は何を食べたのかと聞かれたら、迷わず「味噌だよ」と答えるだろう。
味噌トーストは、関西人には少し難易度が高かったようだ・・・。